映像研には手を出すな!はクリエイティブの教科書

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Twitterでエルヴィス・コステロが「映像研には手を出すな!」というアニメのことを気に入っているという話題を目にするまでこのアニメのことは知りませんでした。

そもそもアニメは人に勧められたものを観る程度で、あまりよく観る方ではないので、エンターテインメントとして観るのであればもっと面白いアニメはたくさんあるのかもしれません。

しかし、このアニメが他のアニメと比較してもかなり高いレベル、もしかすると一番ではないかと思うことが一つだけあります。それはクリエイティブを仕事にしている人間が納得するポイントがたくさんあることです。

あらすじ

簡単に内容の説明をすると主人公は芝浜高校に通う3人組の女子高生。3人のうち2人(浅草さん、水崎さん)はアニメを作りたいが事情がありアニメ研究部に入ることが叶わず自分達で新しい部活を立ち上げることを決意します。もう1人(金森さん)は別の思惑があり2人に協力しており3人でアニメーションを作るというのが簡単な内容です。

物語は3人が困難にぶち当たりながらもアニメを作る様子が、妄想と現実を入り混ぜながら映像化されており見ているだけで楽しいです。

見どころはプロとしてのクリエイティブ

しかし今回伝えたいのはそこではありません。

このアニメで最も重要なことは、この作品がいかにクリエイティブ制作において大切なことを捉えているかという部分です。

プロのクリエイティブ制作において大切なこととは、「お金」と「時間」、「クオリティ」です。そして映像研でこの3つをコントロールしているのはプロデューサー的な役割を果たす金森さんです。

すでにプロデューサーとしてはプロの金森さん

特に金森さんのお金に対するスタンスは、大人でプロとしてクリエイティブを生業にしている人でも、ここまで徹底できているかと思わせるほどのプロ意識を感じます。

※金森さん「映像研には手を出すな!」HPより。 

中でもそのプロ意識を端的に表しているのは第5話のこのセリフ。
『金は依頼した仕事の出来を保証させるためにある。金をもらう以上仕事の出来に責任をもつ義務がある』

これはロボット研究会からアニメ制作を依頼された際に、浅草さんがお金をもらうことに対して否定的な意見を言った際に金森さんが伝えたセリフです。

何気ないセリフですが、これはクリエイターがお金というものをどう捉えるべきかを非常に簡潔に表現しています。

クリエイターと呼ばれる人は、そこにかけられた時間や努力とは全く関係なく「求められているものを創り出せる約束」をすることで対価としてお金を受け取る約束をして仕事に取り組みます。

発注者は、クリエイターの過去の実績や人となりを通じて発注額を決めます。ここで重要なのは発注する側だけが金額を決めるのではなく、受ける側も金額を決める権利があります。

実績がないアマチュア、もしくはプロとしての実績が浅いクリエイターは、自分の作品に自信がなかったり、謙遜したりして安く、あるいは実績作りのためただで仕事を受けてしまうことがありますが、これは大きな間違いであることをこのセリフは指摘しています。

仕事というのは発注する側は相手に仕事の出来を約束させるためお金を払います、受け手はそれだけのお金をもらうのであれば約束を果たす義務が生じるのです。つまり報酬が十分でないと思ったら、仕事の出来を補償させるためもっと対価を要求するべきです。満足でないと思いながら仕事を受けるということは、クリエイティブの出来を蔑ろにするのと同じということです。

どの仕事にも言える仕事と対価の話

アニメが題材なのでクリエイティブに絞って話をしていますが、当然この話はクリエイティブ以外の仕事にも言えることです。何気なく観たアニメで金森さんのプロ意識を目の当たりにして身が引き締まる思いをしたので書いてみました。

もちろん設定マニアの浅草さんが妄想炸裂させるところとか、水崎さんのアニメーターとしてのこだわりポイントなどもみていて楽しいです。

ちなみにオープニング曲はchelmicoでめちゃくちゃかわいいので、それも見どころの一つです。

NHKで再放送中なのでクリエイティブを志す方、クリエイティブに関わる方はぜひ観てみてください。アマゾンプライムでも観られます。

映像研には手を出すな!

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