2022年のデザイナーの暮らしを予想する デザインには政治が大きく関わる

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気がつけばもう12月で2021年もあっという間に終わろうとしています。
9月末に緊急事態宣言が明けてからマスクはしているもののかなり行動の自由が増え、外で食事をする機会も多くなりコロナに対する危機感もだいぶ落ち着いたような気がします。
普通の生活を取り戻した後、これまで停滞していた社会がどう変わっていくのか考える時期がきていると思います。

デザイナーの未来

未来予測というとざっくり5-10年後のことを予想しがちです、仕事であれば10年後になくなっている職業なんて話題もよく聞かれますが、来年どうなるという話はあまり聞きません。
今回は特にデザインの特に直近の未来、まずはタイトルにあるように来年2022年から2024年ぐらいまで3年間ぐらいのことを考えたいと思います。

未来は政治が決める

企業の方針や芸能人をはじめとしたインフルエンサーの発信など、生活を変えるきっかけを持っている人や組織などはたくさんありますが、我々の生活が変わる最も大きなファクターは「政治」です。
意外に思う人もいるかもしれませんがどんなに政治から遠い世界に思えるようなことでも国が決めた大きな方針から全く影響を受けない世界というのはほとんどありません。

※NHK衆議院議員選挙特設サイトより
※NHK衆議院議員選挙特設サイトより

観光に政治が与えた影響

政治が我々の生活にどのぐらい影響があるのかを表す例に「観光」があります。2006年訪日観光客は700万人程度でしたが同年に観光立国推進基本法が設立され、2014年には国をあげて観光客2,000万人を目指す方針が出され2019年には3,000万人を実現しました。
国が大きく打ち出す方針には莫大な予算がかけられ、企業や生活者はその恩恵をうけ知らず知らずのうちに、あるいは意識的にその方針に乗っていることが多いです。

政府のデザインに対する考え

国のデザインに対するスタンスは2018年に大きく打ち出されました。デザインとビジネスを結びつける「デザイン経営宣言」です。

経済産業省hpより:デザイン経営宣言

この宣言では、デザインとビジネスがどのように結びついていくのか、また8章の「政策提言」では5つの方針が示されています。
特に我々の働き方に関係ありそうなのが以下3つです。

①⾼度デザイン⼈材の育成
②海外からの⼈材獲得
③デザインに対する補助制度の充実・税制の導⼊

「高度デザイン人材の育成」は、デザイナーとビジネスパーソンがそれぞれ相互にお互いの領域を学ぶ機会が増えることを意味しています。ビジネスパーソンがデザインを学ぶことで今後仕事がやりやすくなる反面、デザイナーは今までよりもビジネスに関して学ぶ必要が出てきます。
「海外からの人材獲得」ではビザの取得緩和などがなされ外国人の優秀なデザイナーが日本にやってくるでしょう。
そして一番大きい影響がありそうなのが最後のデザインに対する「補助制度の充・や税制の導入」です。企業のデザインの開発や制作に補助金が出る可能性があります。補助金が出れば企業は今よりももっとデザインにお金をかけることができるため仕事の量や幅が増えることが予想できます。

いつからスタートするのか

今見てきたデザイン経営宣言の内容は2018年に出されたものですが、今のところ大きな制度ができるなど動きはありません。

2021年3月にビジネスパーソン向けにデザイン人材育成を促す活動の一環と思われるサービスデザインへの提言デザイン経営のハンドブックが出されています。
これらの資料はとてもよくまとめらていて下手なデザイン関係の本を読むより役に立ちそうです。他にも細かな取り組みはありますが本格的に動きが見られるのはこれからでしょう。

先ほどあげた観光に関する日本の取り組みを見ていても観光基本法ができてから観光客の目標を2000万人におくまで2006年から2014年まで8年かかっています。

※国土交通省 観光庁より 訪日外国人旅行者数・出国日本人数
※国土交通省 観光庁より 訪日外国人旅行者数・出国日本人数

国がデザインに力を入れてまだ3年目です、大きな動きはありませんしコロナでいろいろなことが後回しになっていた可能性はありますが、コロナがある程度落ち着くと見られる2022年から経済を大きく動かすきっかけとしてデザインに力を入れる可能性はありそうです。

上記踏まえると来年から3年間ぐらいはデザインにとっても大きな意味を持つ年になりそうです。
特にビジネスとデザインの関係は今よりも強固になっていくでしょう。
補助金が決まっていれば企業は補助金を活用してよりデザインにお金をかけていくはずです。そこで需要を獲得できるかはデザイナー自身も知識を身につけていなければなりません。デザインの勉強も必要ですがビジネスサイドにどれだけ目を配れるかが今後重要となってくるでしょう。

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