ディーター・ラムスの90歳の誕生日を記念して、ドキュメンタリーが無料公開されていたので観てみました。
内容はディーター・ラムスがブラウンに入社する前、建築家からキャリアをスタートさせブラウンで活躍し、1997年にブラウンを退いてからヴィツウで家具を作り始め現在に至るまでの軌跡です。
映像がとても美しく観ているだけで多幸感に包まれますが、内容も無駄がなくディーターが何を考えていたか、どういう人なのかが73分という短い時間に端的に表現されています。
https://www.ohyouprettythings.com/rams
良いデザイン10ヵ条
ディーターのデザイン哲学を中心に組み立てられていますが、なかでも比重が置かれているのが「良いデザインの10ヵ条」です。
1 Good design is innovative.
良いデザインは革新的だ
2 Good design makes a product useful.
良いデザインは使いやすさを向上させる
3 Good design is aesthetic.
良いデザインは美の定理に忠実だ
4 Good design makes a product understandable.
良いデザインは製品をわかりやすくする
5 Good design is unobtrusive.
良いデザイナは地味で落ち着きがある
6 Good design is honest.
良いデザインとは誠実だ
7 Good design is long-lasting.
良いデザインは時代を超え生き延びる
8 Good design is thorough down to the last detail.
良いデザインは細部まで手を抜かない
9 Good design is environmentally friendly.
良いデザインは環境と調和する
10 Good design is as little design as possible.
良いデザインとは必要最小限のデザイン
どれも当然納得いく言葉ですが実践するのはハードです。また、9の環境との調和という観点は、最近抜け落ちていたと気がつかされました。これらを実践するにはどうやって手を動かすかも重要ですが、これらを軸につくられたアウトプットをどうやってステークホルダーに納得させるかにハードルがあるのはいうまでもありません。
BRAUNロゴに関するエピソード
上記を象徴するエピソードがドキュメンタリー映像の中でも一つありました。それはディーターはあるプロダクトで背面にロゴを控えめに入れたかったのですが、ビジネスサイドから正面に大きく入れたいと要求され、結局それを呑んだというものです。
社内でミスターブラウンと呼ばれたディーター・ラムスですら社内を説得させることに、これだけ苦労していたと聞くと親近感も湧きます。
Dieter Rams 10 Principles of Good Design wall paper
疲れた心にデザインの10ヵ条がとても身に染みたのでiPhoneの壁紙にしました。
この作品集のカバーデザインオマージュです。
Dieter Rams: The Complete Works ハードカバー
デザイナーは必見のドキュメンタリーなので観たことがない方は是非!