畑を耕すようにデザインの事を考えるデザイナーのためのマガジンPeeji(ペエジ)。

Art

2013.8.5

個の喪失と尊重 アンドレアス・グルスキー


Andreas-Gursky高解像度で撮影された写真を photoshop等でレタッチするため細部を拡大することがよくあります。引きで撮った何気ないスナップ写真でも細部を拡大すると思わぬ人間の表情や動きに気がつくことがあります。

アンドレアス・グルスキーの展覧会ではそんな何気ない「気付き」がハイエンドな手法を使ってわかり易くかつマッシブに展示されていました。

アメリカの99セントストアとかポスターにもなったカミオカンデの写真とか、すみずみまでディテールが再現された写真が縦3,4メートルぐらいはあろうかという巨大プリントで展示されていて、その広範な画角とリズミカルに切り取られた対象物が印象的に表現されています。

写真の細部で描かれている一つ一つのオブジェクトの独立性を巨大プリントでマクロな視点から眺めた時、オブジェクトの独立性は無視されて一つの大きな規則とシークエンスに飲み込まれていくように見えたため、最初は人工物に飲み込まれた社会の個の喪失を描いているのかと思いました。

展覧会を見進めて行くうち規則性にただ飲み込まれているかに思えるオブジェクト、牛舎にいる牛や、F1のピットで働く人々、ツール・ド・フランスの観客などディテールがどうしても気になってしまい細部に目が行ってしまう自分に気が付きました。

よく注意を払ってみるとそこかしこでピピピという音が聞こえます。これは展示物に接近しすぎた時に鳴るセンサーでつまり至る所でいろんな人が写真の細部を確認しようと写真に近づき目を凝らしているわけです。

一つの大きな美しい 模様に閉じ込められた小さな人々がそれぞれが生き生きと活動している様をとらえたこれらの写真の主題は、実は個の喪失だけではなくむしろ個の尊重にもあるのかもしれないと感じさせてくれます。

Andreas Gursky


縞模様の歴史

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