仕事でPR領域もカバーすることになりました。
サービスリリースのためにプレスリリースなどを書いたことはあるものの、PRについて学んだことはほとんどないど素人です。
プレスをひたすら書いてそれをどうやってメディアに取り上げてもらうかだけではない、PRの役割がきっとあるはずだと思いとりあえず本を読むことからスタートしました。
二冊を読めばほぼ網羅できる
何冊か本を読んでPRの本は大別すると二つに分けられると感じました。一つはPR戦略に関するもの。もう一つはPRの具体的なメソッドです。
PR戦略系
PR戦略について書かれて本で納得感が高かったのは「戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則」です。
戦略PRとは
PRと聞くとプレスリリースを書いて、PR timesや知り合いのメディアに送りどれだけ取り上げてもらえるかがメインの仕事だと思っていました。フリーの広報をやっている知り合いは、メディア関係者にツテをたくさんもっていて、それを生かして仕事をしていたのでメディアとのパイプの太さが広報としての能力の高さと考えていました。
上記はPRという機能の一つの側面ではありますが、PRのピラミッドでいうところのパブリシティにすぎないことをこの本を読んで知りました。
PRの三段階ピラミッド
PRの構造は3段階のピラミッドで表現されます。
一番下が「パブリシティ 情報の露出」です。プレスリリースやメディアへの露出によって情報を発信することです。
二番目が「パーセプションチェンジ 認識の変容」です。パブリシティを受けて、物事に対する認識が変わることを言います。
そして、三番目が「ビヘイビアチェンジ 行動の変容」です。認識が変わった後に行動が変わります。
端的にいうとPR戦略とは、上記の三段階を戦略を持って計画的に進め、最終目的である生活者の行動変容に辿り着かせることです。
本書では、さまざまな事例を引き合いに出しながら、PRを進める上での6つの方法を紹介し、生活者の行動をどうやって変えていくかに言及しています。
この本をおすすめしたい人
PRというものがなにをゴールにするべきかがわからない人、PRの可能性を広げたい人におすすめの本です。ちなみにkindle unlimitedでも読めます。
PRメソッド系
PRの具体的なやり方に言及しているのをメソッド系と大別しましたが、その中でももっとも体系的にまとまっていたのがPR会社のサニーサイドアップがまとめた「サニーサイドアップの手とり足とりPR」です。
PRのメソッド
手とり足とりPRというネーミングの通り、PRの基本的な考え方や進め方など、プランニングからリアルやデジタルなど媒体ごとのプロモーションのやり方の違いなど、網羅的に書かれた本です。
素人が手掛けがちな広報
大企業であれば広報は、リスク管理やメディア統制など企業運営にとって欠かせない機能として認識されますが、スタートアップなどでは人事や時には社長が兼任したりしているなど、機能として後回しにされがちです。
つまり、広報のことなんてほとんど知らない素人がやることも多いと思います。広報を担当することになった人は他社のプレスリリースを読んで真似をして書いたり、ネットの記事で広報のやり方を調べたり、時に本を読んだりしてなんとかこなしていると思いますが、そんな人の手元にこの本が一冊おいてあれば大まかなやり方は把握できます。
ただし、この本に書いてあることを実行するには、戦略やプランを考える思考力、関係者との関係作りができるコミュニケーション力、プランしたことを実行する行動力が問われます。
PRとはなにか デザイナーの役割
実際にPR戦略を考えていくとわかりますが、ただ事業の内容を伝えるというだけではなく、PR戦略を考える過程で事業がどうあるべきかまで考え、それを事業にフィードバックすることもある重要な機能であることがわかります。
スタートアップなど専任の広報をおく余裕がない企業で、PRを担当している方は、ただ情報伝達をするというPRではない社会との繋がりと認識、行動を変容させる視点がもてるだけでも、PR実行のレベル感が変わってくると思います。
デザイナーは特にパブリシティの部分で関わることが多いと思いますが、PR戦略の全体像を理解できるとPRのゴールである行動変容をどうやったら作れるかという視点でものづくりをすることができます。
PRはあまり直接的には関係ないと思うデザイナーの方も多いと思いますが、読んでみると事業と社会との関係構築への理解が高まってくるのでぜひ読んでみてください。