2014.9.11
デザインとスピード 2014年秋編 2/2
デザインとスピード1/2の続きです。今回は仕事の質とデザインという仕事との付き合いについて。
スピードアップに反比例して下がる価格
仕事のスピードが上がる事で起きるのが価格の下落です。仕事の単価は昔に比べればどんどん下がっています、ぼくが最初のデザイン事務所でデザインを始めた時、簡単なポスター一枚作るのに2桁万円かかるのは普通でしたがやめる頃には半額ぐらいに、仕事によってはPOP関連の制作物もだんだん簡単なものであれば店舗でプリントして使うのが当たり前になり仕事自体が減っていくような状況も見受けられました。
なぜデザインの価値がそんなに下がってしまったのかといえば、パソコンがちょっと使えればなんとなく形になってしまうので、誰もがデザイナー足り得る状況が出来てしまったことが一番の原因でしょうか。本当に美しいものや良い物を作ろうと思ったらそうは行かないのですが、普通の人はそんなところまで意識がいきません。発注する側のこれなら自分でも作れそうという勘違い(実際そういうものもあります)がデザインの価値を下げてるのでしょう。
デザインの価格が下がることでデザイナーはデザインやっているだけだと食べれなくなります。簡単なキャッチぐらい考えるコピーライター的な役割を担ったり、ちょっとした撮影はやってしまうなどただデザインやっていればいいという人は一握りになってきます。それが更に広告宣伝費の下落につながり価格が安いからいっぱい仕事を詰め込むしかなくなるというデザイン土方の負のスパイラルから抜け出せなくなります。そしてこれがデザインに過剰なスピードが求められる原因の一つとなっています。
問題なのはそれに人間思考速度がきちんとついていけてるかという部分です、詰め込まれた仕事を苦に体調を崩して仕事を辞めていった人を何人もみていますがやっぱり人は人の生きるスピードで生きなければいけないのです。
SF小説などで描かれる未来像でよく人間は全く働く必要のない高等遊民のような存在になっている事がありますが、確かに肉体を動かす仕事は減っていますが仕事自体の量は、まったく変わっていないむしろ逆に増えている、その状況を作り出しているのが実は自分達だということになかなか気が付けない。(写真はSFの古典的名作「R.U.R ロボット」を書いたチェコのSF作家カレル・チャペック)
仕事の数より質、これを大事にしていくのが当たり前だけど一番重要でで、実際 デパ地下で一つ5,000円の弁当が飛ぶように売れていたりと デザインに限らず価値ある物にはお金を惜しまないという人は増えています。問題の解決で一番のポイントとなるのはデザインの価値を発注者に理解してもらう事と、実際に価値があるものを常に生み出すデザイナーであり続ける必要があるというところです。
そんな対価を払ってもらい敬意をお互いに持ちながら仕事ができるデザイナーになりたい、いやならなければと日々の仕事の合間に考える日々です。
デザインマネジメント

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