2019.2.17
判断のデザイン チップ・キッドTED Books
世界的講演会「TED Conference」を開催するTEDが出版するTED Booksから「判断のデザイン」をご紹介します。
ブックデザイナーのチップ・キッドが、様々なデザインを「明瞭(クリア)」か「不可解(ミステリアス)」で仕分けながら、解説をするとてもシンプルな本です。
タイトルは少し難しそうな印象を受けますが、見開き右ページにデザインの写真、左ページにその解説が短い文章で書かれていてサクサク読めてしまいます。
読みやすさのもう一つの理由は、TEDでのプレゼンテーションスライドをそのまま本にしたような本だというところです。
The art of first impressions — in design and life
この本を読まなくても内容は上記リンクのプレゼンを見るとほとんど理解できますが、本のレイアウトデザインがとても美しく、プレゼンテーションでは出てこない題材もあります。
ビジュアルと解説
デザインの解説は著者のデザインロジックをベースに、時に感情もいれながら、バッサバッサと切り捨てられていく様は読んでいて気持ちが良いです。全て読み進めていくと特に結論も出ないまま終わってしまいます。
デザインに限らず第一印象がクリアであるべきか、ミステリアスであるべきかは、その後の思考に大きな影響を与えてしまう事があるという主題は、非常に明確なのにはっきりと何かを言い切っていないところが、読み手に思考を巡らせることを促します。
個人的には取り上げられている著者が手がけたデザインの写真、特にブックカバーの文字組の美しさをみられただけでも本を開いた価値があると思いました。
デザインに煮詰まっている時に開くと、自分が選ぶべき道がひらけるかもしれません。

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