2018.5.29
小さな出版社のつくり方
「小さな出版社のつくり方」というタイトルですがハウツー本ではありません。出版にまつわる仕事、編集や本を作る上での矜持をどうもつべきかの参考になる本でした。
この本に集まった11社の小さな出版社の方々は、出版社を作る動機はバラバラでその仕事のやり方も違います。
どの出版社の話も面白いのですが、僕が特に印象に残っているのは、東大出版会出身の羽鳥書店さんです。
羽鳥書店さんは、ロゴを原研哉さんが作ったということでインパクトがあったのですが、「モノとしての本の側面も大事にしたい」というコメントからもわかるように、手間暇をかけて本作りをされているように感じました。デザイナーや編集者は職人としてこだわることはできますが、載ってくるコストを本の売価に反映させて「売れる本」を作るという出版社としてのモノづくりには頭が下がります。
※羽鳥書店ロゴ
デザイナーやライターの方など、いつかは独立して一国一城の主みたいなことを考える人は多いのではないでしょうか。この本を読んでいると決して楽しいことばかりではない、むしろ大変そうな出版社という仕事をやってみたいと思ってくるから不思議です。
出版という仕事に限らず、いろいろな仕事に通じる仕事のやり方を語ってくれる出版社の方々のコメントは、仕事のやり方に迷っている人の考えの一助になる本です。

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