畑を耕すようにデザインの事を考えるデザイナーのためのマガジンPeeji(ペエジ)。

2013.7.23

写真と建築と装丁 桂離宮 石元泰博


katsura僕のように実際の建築物を見るよりは建築家が書いた本を読みその思想を享受する事が好きな人間にとっては、建築は写真を通して見ることの方が圧倒的に多く、そうでなくても外国の建築物に触れる機会は日本人にとっては少ないので、やはり建築写真で建築に触れる人は多いのではないでしょうか。

建築写真の写真集は建築物の姿を忠実に伝えようとしているものと、建物に忠実というよりは写真を撮ることでその建築が持っている潜在性を最大限に浮かび上がらせるものがあると思いますが、この写真集に関して言えば後者です。

石元泰博さんが撮影した桂離宮の写真集は話で聞いたことがあるだけで実際に見たことはありませんでした。石元さん以外の写真集なんてと勝手に決めつけていた僕は、今では手にとることのできない写真集に憧れを持ちながら、他の写真集を手にとることもなく、京都に行く際実物を見てやろうと思ったりもしましたが予約が間に合わず行く事ができず、なかなかその姿をちゃんと見る機会がありませんでした。

ある日書店で建築コーナーを何気なく見ていると桂離宮の写真集があり、装丁がたまに見かける普通の桂離宮の写真集とちょっと違うのが気になって手に取ると著者に石元泰博とあります。これはと思いページを開くとまずレイアウトの美しさに目を惹かれます。文字のボリューム、写真のトリミングと余白が完璧な比率で収まっていて、写真の中に描かれている桂離宮の完璧な水平と垂直の連鎖と有機的に交わり強烈な排他的と言ってもいいほどの強さを生んでいます。

桂離宮は石元さんの前では「桂離宮」という日本屈指の書院作り建築ではなく、あたかもそこに置かれた大きな岩か何かのように撮られ、一つの岩のただ美しい部分だけを切り取ったらこう見えると思わせる純粋さがあります。
写真が持つ純粋さを最大限に生かしているのがレイアウトと印刷、紙の質感・厚さです。奇抜なデザインをしなくてもこれだけの力強いデザインが出来るとはただただ太田さんを尊敬するしかありません。

利休が弟子に庭の掃除をさせた際、完璧に塵一つない状態に磨き上げた庭を見てまだ終わってないといい落ち葉をばらまき作られ過ぎた美しさを否定したと言われていますが、この写真集は同じ言い方をすれば塵一つ一点の曇りすらもない写真集であり、静的なのにドラマチックですべてが完璧すぎるほど完璧なのが欠点といえる写真集。

もはや写真集というよりはアートや工芸品に近いのでは、1000部限定というのも希少価値を増しています。

 

石元泰博 桂離宮


縞模様の歴史

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