畑を耕すようにデザインの事を考えるデザイナーのためのマガジンPeeji(ペエジ)。

2017.9.22

有楽町無印良品 Atelier MUJI Handspaceワークショップとインタビュー 「手が作り出す風景」


2017年9月1日(金)より有楽町無印良品内にあるAtelier MUJIでスウェーデンのアーティスト、カタリーナ・ブリーディティスとカタリーナ・エヴァンスによる「Handscape」展がスタートしました。
今回は14日(木)に行われた学生向けのワークショップ取材させていただき、アーティストのお二人へインタビューもしてきました。

展示風景

※展示風景写真
Handscape展とは
Handscape展は展示された作品をただ見るだけでなく、参加者が実際に手を動かし一つの作品を参加した人全員で作るプロジェクトです。

作品の元になるのは無印良品の工場で商品の製造過程で生まれる端材、本来そのまま捨てられてしまういわゆるゴミを使ってアートを作る、しかもそれをアーティストでない一般人とともに制作するというのが本展の試み。

カタリーナ・ブリーディティス カタリーナ・エヴァンス

本展キュレーターの鈴木さんのお話ではスウェーデンと日本ではものづくりに対する距離感が違うとのこと、スウェーデンや北欧ではいわゆるDIY的な手を動かして身の回りの何かを作るということが一般的ですが、最近DIYがトレンドになりつつある日本でもまだまだ生活に根ざしているとは言えない、そんな中実際に手を動かしそこで生まれた風景、つまりHandscapeを作る過程が一つのアートになるというのが今回の展示の基本コンセプトです。

また、今回の展示はただ作品を展示するだけでなく参加型ということで作品の元になるネットの取り付けに建築家が関わっていたりと参加者だけでなく、バックグラウンドで様々な人が関わることで展覧会を完成させているところに通常の展示型の展覧会とは違った面白さを感じます。

やり方説明

※やり方写真
来場した方は誰でも気軽に作品作りに参加できるようになっています。

素材

※使われた端切れ
カットされた端切れを使って作品を作ります。

展示されている二つの作品説明

展示風景

展示風景

※二つの作品KASURIとROSENGÅNG’
会場で作られる作品の他にもともと二人が制作していたアートプロジェクト「Re Rag Rug」の作品も展示されています、Re Rag Rugは1年12か月をかけて毎月一枚のラグを作るプロジェクトですが、こちらも作品の原料になっているのは着なくなったTシャツやセーターなど、価値のないものから価値あるものを作り出すというのが共通のテーマとなっています。

お二人に二つのラグについて、そしてRe Rag Rugプロジェクトについてお伺いしました。

ー今回展示されている2つの作品について

KASURI

KASURIは3つ編みのように髪の毛を編むように作られています、ただの3つ編みではなく9つ編みを使うことでより複雑なパターンを作り出しています、素材には着られなくなったTシャツをつかっていてます。作品名のKASURIは日本の絣織りに似ていることから名付けました。

展示風景

ROSENGÅNG’はスウェーデンの伝統的なラグの作り方で制作していますが素材には古着のセーターを使用していて、形は曲線を描く自由な形状になっています。様々な触感を持っていますが、上を歩くとまるで苔の上を歩いているような不思議な触感です。

Re Rag Rugのテーマに関しても伺いました

ーRe Rag Rugの全体を通したテーマはなんですか

Re Rag Rugは一つ一つが異なるストーリーを持っています、Re Rag Rugはそれぞれの月でそれぞれ新しい技術、素材を使って作られています。常に新しい技術を発見し我々も見たことがない新しいラグを作ることがRe Rag Rugのテーマです。

ー手法と作り方に関して

12種類のラグを作ることは我々にとってもチャレンジでした、最初はどんな素材を使えるかもわかりませんし、一つのラグが出来上がるとその時使ったアイデアを忘れ、また新しいラグにアイデアのない状態で取り組みます。なのでプロセスがとても重要な意味を持ってきます、手とデザインシンキングを使い素材を感じとり可能性を探ります、すると素材自身が私たちに何を作れば良いのか語りかけてくるようになりそしてラグが出来上がります。

ワークショップスタート

ワークショップ

※ワークショップの冒頭説明の様子
ワークショップは端材を加工してリボンを作る、リボンの結び方を学ぶ、リボンを使って作品を作るの3工程に分かれていますが、ランダムに結んでいるように見えて結ぶ向きや結ぶ位置、下から上に向かって結ぶなど緻密にやり方が決まっていて、参加者は割と長い時間をかけて結び方を学んでいました。

設計図

※お二人が描いた作品のラフスケッチです。

ワークショップ

※作業風景写真
実際の作業が始まってしまうとみなさん黙々と作業に集中しています。

素材

※結び目のアップです、これはネットの横に結びつけてあります。

作業風景を動画にしてみました。

途中、エヴァンスさんが上の方に無造作に取り付けられたリボンを取り外しているので、なぜ取り外すのかと聞いたら「下から上につけていかないとつけられていない部分ができてしまうし、雲のラインを作りたいから」とおっしゃっていました、ワークショップという多数の人が関わる制作の場において彼女たちのこだわりがとても強く感じられるところでもあり、実際に多数の人たちが参加して制作するところを楽しんでいる部分も見え、アーティストとしての作品に対するこだわりとその場で起きていることを楽しむ側面がたゆたうのがとても印象的でした。

ワークショップについて聞いてみました

ー今回ワークショップで作られたラグとRe Rag Rugとの違いはなんですか

12個のラグは私たちだけでスタジオでつくり、すべて私たちのブログで紹介しました。今回の場合は私たちのアイディアをもとにパブリックな場所で行い、そして私たち二人以外の人たちも制作に加わりました。なのでRe Rag Rugとは全く違います、しかし同時にとても似ています。なぜなら最後にどのような者が出来上がるかはいつもわからないのですが、今回も未だに私たちはどのようなものが現れるのか分かってないのですから。

また、Re Rag Rugは床に置いて使うラグの品質を見つけるためのものでもありました。今回のものは吊るしているので、ものとして完全に違っていますし目的も違います。しかしながらテクニックはラグからもたらされました。

そして知っておいていただきたいのですが、私たちは「ラグメーカー」ではありません。Re Rag Rugのような取り組みで、私たちは12個のラグをつくると決めました。それはただ単に私たちにフレームを与えるためにです。ラグでなくてもよかったかもしれません。ネックレス、バッグ、なんでも、もっと大きなものでも!それらはただの枠です。私たちはさまざまなデザインをします。私たちはただラグを作っているだけではないの。

カタリーナ・ブリーディティス カタリーナ・エヴァンス

お二人の話を伺ったりワークショップを行う前に作業されている様子や実際にワークショップで指導されたり作業されたりしている様子を見ていると、二人がいかに自分の手で作業することを大切にしているのかと同時に常に新しいことをやりたいという意気込みが伝わってきました。

14日の時点ではまだ半分ぐらいしかできていませんでしたが、ブリーディティスさんにいつできるのか聞いたところ「17日の日曜日までに作らないといけないの、なぜなら17日には帰らないといけないから!」と言っていました、まだまだ仕事が残されていそうでしたが、果たして作品は完成したのでしょうか。

完成写真

※完成写真
その後Atelier MUJIの方に完成した写真を送っていただきました、キュレーターの鈴木さんは「ワークショプが終わったあとも、参加してくださった方々が続けて週末作業をサポートして下さり、作家とともに大きな作品を完成に導いて下さいました。これは、このプロジェクトのひとつの成功のかたちだと思います」とコメントくださいました。完成させた作品は、裏表両面6mもある大作で出来上がった作品からは写真からでもとても力強いものを感じます。
Atelier MUJIでの展示が終わった後11月に、スウェーデン大使館で展示する機会があるそうです、そちらもお楽しみしていただければと思います。

最後に継続性を大事にされているお二人に二人がイメージする継続性の実現した社会について伺ってみました

ー継続性のある社会を作るためのアーティストの役割とはなんでしょうか

今回のことから考えてみると、MUJIが私たちに素材を提供しました。そして「これをどのようにつかったらもっとも良いだろうか?」という解決すべき問題が私たちに提示されました。

私が継続性のある社会のために重要だと思う事はデザイナーを使う事だと思います。そうすれば問題は解決するかもしれません、産業と寄り添って、産業がつくりだす余分なものをどのように利用できるか私たちは実験できるのだから。

カタリーナ・ブリーディティス カタリーナ・エヴァンス

継続性というと経済的な側面から循環の仕組みを考えたり、ゼロエミッションを目指すということを考えますが、お二人の話を聞いていると無駄な物を使い新しいアップサイクルの仕組みを作るということがすごく楽しいことのような気分になるから不思議です。

ワークショップの合間にエヴァンスさんに作品の楽しみ方を聞いたのですがつくられた作品の間に座ると雲と雲の間にいるような気分になるとのこと、作品が出来上がってしまったので作る工程には参加できませんが是非端材で作られた美しい雲の間にいる気分を味わってみてはいかがでしょうか。


開催日:2017年9月1日(金)~10月29日(日)※店舗休館の場合は、それに準じます。
開催時間:10:00~21:00
開催場所:無印良品 有楽町 2F ATELIER MUJI
〒100-0005 東京都千代田区丸の内3-8-3 インフォス有楽町
主催:無印良品
共催:スウェーデン大使館
企画協力/作家:Studio Brieditis & Evans
空間構成:堂園有的 (SAND)、西川拓 (SAND)、佐藤未季
グラフィックデザイン:大内かよ (OKデザイン)
企画・運営:株式会社良品計画 生活雑貨部企画デザイン室・無印良品 有楽町 ATELIER MUJI
お問い合わせ:ATELIER MUJI

北欧デザイン〈1〉家具と建築


縞模様の歴史

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