2017.5.7
デザイナーが読むべきデザイン書5冊 文字編
デザイン、特にグラフィック・Webにおいて文字の占めるウェイトはどんどん増加していると思います。そんな中で基本的な文字の扱いを知ることはデザイン基礎体力をあげるためには重要です。
非デザイナーからベテランの方でも参考になりそうな文字関連書籍を5冊ピックアップしてみました。
フォントの不思議 小林章
超有名ブランドのタイプフェイスがどうやって作られているのかを、フォント選びと微妙なチューニングのコツを基に非デザイナーでもわかる言葉で解説している本です。
入り口は身近なブランドのタイプフェイスをもとにフォントの説明が語られているので入りやすいですが、基本的なフォントのプロポーションや構成にまで言及されているのでフォント勉強の第一歩にはとても良いです。
欧文書体―その背景と使い方 (新デザインガイド) 小林章
上記と同じく現monotype社のフォントデザイナー小林章さんが書かれた欧文書体理解の入門書。欧文書体のなりたち、フォントにおける錯視の理解、基本用語など書籍のデザインはちょっと味気ない教科書のようですが、非常にためになる本です。
特にロゴやロゴタイプを作る時にこの本に載っている基礎知識を知っているか知らないかは大きな違いとなるので、ロゴデザインをやる方は絶対手に取ってほしいです。
TYPOGRAPHY
日本で唯一(2017年5月現在)のタイポグラフィー専門誌です。フォントの基礎知識から今使うべきフォントやWebフォントを取り巻く最新情報など幅広くフォントに関する情報収集ができます。
また、雑誌自体のデザインも秀逸で眺めているだけで気分が上がる楽しい雑誌です。
月刊MdN 2016年11月号(特集:絶対フォント感を身につける。2)[雑誌]
フォントといえば、パッと見てこのフォントはA1明朝だなと判断できる観察眼を持つことにデザイナーであれば若干憧れがある人は多いと思いますが、その観察眼を音楽の絶対音感になぞらえて「絶対フォント感」と名付け特集を組んでいるのがMdNのこの号です。
書体のどこの部分を見れば見分けやすいのかや書体見本帳などもついていて普通に役立つ知識や資料が満載です。
月刊MdN 2016年11月号(特集:絶対フォント感を身につける。2)[雑誌]
The Helvetica Book ヘルベチカの本 大谷 秀映
デザインをするしないにかかわらず知っている人が多いであろう書体ヘルベチカの持ついろいろな魅力に気が付かせてくれる本です。まだフォント関連の読みやすい本が少なかった頃に出てきたグラフィカルで読みやすい本だったので個人的に強く影響を受けました。
大きく3章に分かれヘルベチカの成り立ちから文字の構成要素の解説から始まりますが、興味深いのは類似書体であるグロテスクやユニバース等とのタイプフェイスの詳細な比較をしている部分、比較を通してヘルベチカの持つ汎用性と個性が浮き上がってきます。
以上5冊紹介させていただきました、文字関連の本は10年ぐらい前に比べるとかなり数が増えたと思いますが、まだまだ体系的にまとめられた本は少ないですね。
紹介させていただいた5冊以外にも良い本はありますがそれはまたの機会に。

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