2014.3.19
デザインと大きさの関係性とプレゼン力
最近写真展覧会の空間デザインや設置などに関わっていました。
参考も兼ねて六本木でやっていたグルスキーの写真作品を見たり、自分で展示に関わったりしていて今までより強く感じたのですが、物を見る時に大きさというのは印象のかなり大きな部分を占めるということです。
当たり前といえば当たり前でそれこそ2000年以上前から、秦の始皇帝などが万里の長城や秦始皇帝陵をはじめとするその超大規模な土木工事を、防衛力のためだけではなく権力を誇示するために行っていたり、牛久にある100m超えの大仏なども良い例で、決して趣味がいいと思えない像ですが巨大な体躯を前にすると圧倒的な威圧感というかプレゼンテーション能力を発揮します。
グルスキーにしても写真集を見ても良いとは思いますがそこまで圧倒的なものは感じません。やっぱり展覧会で見たような大きさがあって初めてその力強さを感じられます。また牛久大仏の場合世界一 (2014年現在) の高さを持つブロンズ像としてギネスに認定されています、大きさという項目のために数字を競うだけで得られる付加価値が生まれたりします。
写真集などでもたまに片ページA3サイズ以上ある巨大なものを見かけますが同じ写真家の写真でも大きくするとそれだけで3割増しぐらいに見えますし、大きさが持つプレゼンテーション能力というのを改めて感じるところです。
大きさと利便性の折り合い
一方、大きい事はいいことであると簡単に言えない部分もあってそれは大きさが持つプレゼンテーション能力の持続力が短いところです。
大きさにはたしかに強いプレゼン能力がありますが、適切なレベルを超えた場合その持続力はがくんと落ちます。その一番の理由は大きい物は大概の場合取り回しが悪く邪魔になりやすいのです。一緒にいる時間が長くなるとよりその大きさは目立ちます。
例えば大型の写真集などお店で見ている時はあまり気になりませんが、いざ気に入って買ってみるとまず家に持ち帰るまでにその大きさと重さに辟易します。家に持ち帰りいざ広げて見るとやはり美しく満足するのですがしまおうとするも普通の雑誌が入るぐらいに大きさの本棚には入らない、仕方ないのでサイドボードに置くもしばらくするとホコリをかぶってしまい結局物置の奥にしまい込まれて二度と開かれない。
そこまで言うと極端かもしれませんが、大きさとプレゼン能力は比例するけど利便性はある点を境に下がっていく、これは紙媒体や空間デザインをやる上で避けて通れない道です。
極端な事を言えばデザイナーは、その調和がとれた絶対点を目指すためにデザインを突き詰めて行ってるのかもしれません。
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