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2016.5.8

水玉の歴史 古代ギリシアから東海道五十三次まで


ボーダーと並ぶパターンと言えばドット柄です、ボーダーとは異なりドットに関しては体系的にまとめられた書籍が見つかりませんでしたが今回3冊の書籍とWebを参考にまとめてみました。

水玉の歴史
服飾辞典―日英仏独対照語付※1」によれば水玉が歴史に初めて登場したのは紀元前2000年のアッシリア王妃のドレスや古代ギリシアだそうです、思っていたよりはるかに早いです。アッシリア史が具体的に世界に現れるのが紀元前2000年※2ぐらいということですから交易が盛んになり文化が発展した初期には水玉柄が存在したということになります。もちろん今我々が目にする水玉柄とは多少違うとは思いますが複雑なパターンでないだけに大きな差はない可能性があります。

そしてここからがポイントですが中世から18世紀までは無地や織物が中心で歴史上にはあまり出てきません、次の出現は19世紀初期の古典柄流行までを待たなければならなかったそうです。

古代ギリシアの終わりから中世までの1500年ぐらいはどこに行ったという感じですが、その後の19世紀初期までの間も水玉は歴史から姿を消します、もちろん記録があまり残っていないだけで模様としては残っていたと思われます。TOWN&COUNTRYのThe History of Polka Dots in Photosによれば1857年に発刊された女性向けライフスタイルマガジンGodey’s Lady’s の中でスカーフの柄についてポルカドットに関する記述が見られるということで19世紀中期には水玉柄が復活してきたのがわかります。

日本の水玉歴史

ここで気になるのが日本の水玉の歴史です、安土桃山時代に交易で入ってきたと書かれていることが多いですが1500から1600年初頭は服飾辞典だと空白となっている時代です。安土桃山時代だとオランダかスペインからだと思われますがどのような形で入ってきたかは資料が見つけられませんでした。

現存している水玉資料として出てくる伊達政宗の水玉模様陣羽織は江戸前期から中期のもの、また日本の水玉柄といえば鮫の皮のような鮫小紋、今のポルカドットに近い行儀小紋ですがどちらも江戸時代に生まれたもののようです。

伊達政宗 水玉模様陣羽織

資料として残っている水玉模様陣羽織ですが、明治時代の目録には紫地羅背板五色乱星という名で残されており※3その大きさ色合いも西洋のドットの流れを汲んでいるというより星空をモチーフに独自に育まれたのではないかと思われます。また、鮫小紋は水玉というより青海波に近い模様で波の形を作るためにドットを用いたような印象を受けます、行儀小紋だけはポルカドットに非常に近く西洋の影響を受けたのではと考えられますが前述した空白の期間を考えるとどのように伝わったのかはかなり不思議です。

水玉の種類

西洋装飾文様事典※4、日本大百科全書〈9〉※5によると名称が付いている水玉の種類は少なくとも16種類(別名含む)もあります。
各名称はクッション・ドット(以下ドット略)、コイン、コンフェティー、コンポジション別名フロック、シャワー、スクリーン、スワイベル、ダブル、バルーン、ピン、ファンシー、、ポルカ、ポロ、ダルマチアン・スポット、ドミノスポットです。コイン、ポルカ、ピンなどは聞いたことありますがほとんど初めて聞くものです。
名称を分ける要因は大きくドットの大きさ、並び方、色使い、加工方法(織り方や繊維を電子着させるなど)の4種に分けられます。

水玉模様の持つ意味

ボーダー柄はもともとは罪人や道化師など忌み嫌われる職業の人間が着せられるなどその模様に強い意味がありましたが※6、水玉にはジェネラルでそのような意味はなさそうです。
ただフラメンコの衣装でよく水玉が見られますがその水玉には意味があるようです、1つはほくろを意味しているという説、もう一つは迫害されてきたジプシーの涙を表しているという説です。

スペイン語では「水玉模様」のことは「de lunares」、そして「ほくろ」のことを「lunar」と言います

迫害を受けてきたジプシー達の「涙」を表しているという説です。
フラメンコ衣装工房 MILAGRO

水玉まとめ

手元にある資料とネットでは水玉の歴史に関してはどのような経緯で普及し、どのようなポジションで扱われ、その模様に意味があるかは資料を見た限りではボーダーのようにはっきりしたことはわかりませんでしたが、その流行がプリント技術が一般に普及した19世紀中盤からということからファッションに特に強く結びついているということ、さらにシチュエーションで意味をもたせて使われることがあるといことがわかりました。

日本の水玉と西洋のドットのルーツが同じなのかどうかということは若干の疑問が残ったままです、ポルカドットのような規則的で幾何学的な繰り返し模様は日本人が伝統的に好みとしている模様の作り方、例えば青海波や鱗模様、亀甲模様などのパターンに近いし、豆絞りなどの伝統的な染め方による柄の作り方を考えても日本で生まれたと言われても割としっくりきてしまいます。廣重の東海道五十三次などで江戸の風俗として豆絞りを使ったと思われる柄が衣服の生地として見られます。

東海道五十三次 蒲原宿 歌川広重

水玉の持つ意味合いが弱いこと、模様の成り立ちがとてもシンプルであることを考えると強いルーツがあるというよりは同時多発的に発生したと考えてもいい気がしました。

個人的には水玉がジプシーの涙を表しているというエピソードにとても惹かれます、悲しみを表現するために衣服にそれをモチーフとして取り入れる感覚って現代人にはなかなかない感覚です、少しだけ水玉に近づけた気がする水玉勉強でした。

※1 服飾辞典―日英仏独対照語付服飾辞典―日英仏独対照語付

※2 Wikipedia アッシリア

※3 仙台市博物館

※4 西洋装飾文様事典

※5 日本大百科全書〈9〉

※6 ボーダー柄とは何か「縞模様の歴史」

水玉の履歴書 (集英社新書)


縞模様の歴史

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