畑を耕すようにデザインの事を考えるデザイナーのためのマガジンPeeji(ペエジ)。

2016.4.17

東京オリンピック2020 エンブレム選考3つの問題


昨年12月を〆切として行われたオリンピックのエンブレム公募ですがついに4つのエンブレムに絞り込まれたようです。

あまり今回選考されたエンブレムに関して批判する気持ちはなく、デザイン業界の端くれの端くれに存在させていただいている自分などがお偉方に意見するのもおこがましいですが、改めて今回行われた一般公募の問題点が大きく3つあったことを振り返って見ます。

オリンピックエンブレム

先述しましたが今回の公募は通常考えて3つの問題を抱えていると思います。それは公募対象、選考方法、選考者の問題です。一体何が問題なのかを一つ一つの問題にフォーカスして検討したいと思います。

公募対象の問題

今回最もポイントとなったのは「開かれた公募」を理由にプロ・アマチュアを問わず誰もが参加出来る公募となったことです。プロとはいえピンからキリまで存在しますし、さらに言うと主婦や大学生など18歳以上であれば誰もが参加可能です。オリンピックエンブレムはただのマークではなく国を代表するシンボルとして使われます。普通に考えれば国を代表するデザイナーに作って欲しいと考えるのがごく一般的な思考ではないでしょうか。

私はスポーツの世界やルールに関して明るくないのですが、例えばマラソンのオリンピックの代表を決めるのに一般公募も走行可能な大規模な大会を開きその結果で代表を決めるなどといった決め方はしていないと思います、一発選考という場合もあるようですがそれも誰もが参加出来る大会ではなくその大会に出るために幾つかの条件を満たした方に参加資格が与えられます。

マラソン
※マラソンイメージ、写真と記事内容は関係ありません。

つまり幾つかの選考を経て良い結果を出す角度が高い人の中から代表者が選ばれるわけです、これはスポーツだけではなく音楽の国際コンクールなどでも同じです。参加資格、予選など幾つかの選考を経て角度の高い参加者の中から優勝者を選びます。偶然に頼らずより正確に選考しようと考えるとこれは必然でいかに今回の公募が異常であるかがわかります。

選考方法の問題

公募対象の問題と若干かぶりますが今回はオリンピックエンブレムというたった一つの枠に1万4千もの応募がありました。これはどのように選考されるのでしょうか、東京オリンピック公式ページによりますと

1.まず応募形式にあっているか事務局が選考し1万4千から1万程度まで絞り込む
2.その後32名のデザイナーやアートディレクターにより311まで絞り込む
3.さらにそれを64まで絞り込みエンブレム委員会によって最終4つの案まで絞り込む

ということですが1.は問題ないとして2が大きな問題です、たったの32名で1万を300まで絞り込んでいます、小規模なグループに分けて行われたということですがこれだけの数を正確に選考するのは非常に難しいと思います、かといってむやみに人数を増やせば良いかというとそういうわけでもなくやはり選考対象をそもそも絞るということがまず必要だったのでしょう。

選考者の問題

最後に選考者ですがエンブレム委員の構成は美術大学教授などを含めたとしてもグラフィック関係者は5名程度、純粋なグラフィックデザイナーは勝井三雄先生のみ、それ以外は杉山愛さんや王貞治さん、弁護士など年齢性別もバラバラで多様な方々で構成されています。

チャイコフスキーコンクール
※Sputnikチャイコフスキーコンクールの様子
王さん杉山さんなどに何の悪意もないのですがこの審査委員は異常です、例えば世界的に権威のある国際音楽コンクール、チャイコフスキーコンクールの場合、審査員は音楽家もしくは音楽祭のディレクターなどが並びますが、一般の視点を取り入れるためにメドベージェフやプーチン、他業界の重鎮が参加することはありません。音楽の審査ができるのは音楽のプロだけだというのが明確だからです。もちろんデザインの世界でもワルシャワ国際ポスタービエンナーレなどグラフィックの権威となる大きな大会の審査員はすべてグラフィックデザイナーです。

上記3つの問題を踏まえるとやはり今回の選考方法は賢明とは言えない気がします、今回の選考基準で上がっていた「多くの人の共感が得られる」というポイントは一見非常に正しいですが間違うとどうということがないものが選ばれてしまうという判断基準になりかねません。

もちろん限られた人だけの審査が続くと業界の腐敗につながるというのも一つの問題点としてありますが少なくとも今回の判断は極端すぎるのではと個人的には考えました。

一人のデザイナーの端くれとして今回の公募を通じてデザインコンペのあり方が今一度見直されることを切に願います。

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縞模様の歴史

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