2016.2.29
ワタリウム美術館 リナ・ボ・バルディ展のアートディレクションで感じたデザインのあえてのヘタウマ
普段は休日でも日常に拘束される事の多い日々ですが、久しぶりに休日ゆっくり自分の時間を過ごすことができるので美術館でも行こうと思い調べてみるとリナ・ボ・バルディ展をワタリウムでやってるというので足を運んできました。
正直このブラジル人女性建築家の事はSESCポンペイア文化センター以外あまり知らなかったのですがその建物の宣伝写真に惹かれて見に行くことにしたのですが想像以上に良かったです。
リナに触れる
代表作複数点の模型がかなり大きなボリュームで展示されていたり、人柄が伝わるリナの収集したブラジルの工芸品が展示されていたり、建築に関するインタビュー動画など建築というよりリナの人物像に迫る展示でした。
SESCポンペイア文化センターの模型、大きいです。
サンパウロ美術館の模型
ミニマルに再現されたガラスの家の再現
個人的には3階のガラスの家のリビングルームを再現した展示が非常に良かったです、床にはガラスの家と同じ水色のタイルが有機的に敷き詰められ、植物、工芸品、テーブルと椅子が配置されています。ミニマルに再現された部屋は外の光が入ってきてとても居心地が良い空間になっており、展示が良いのかただ単に居心地の良さを楽しんでいるのかわからなくなるほどでした。
青いタイルが非常に可愛いです。
そんな非常に満足させていただいたリナ・ボ・バルディ展ですがフライヤーなどのグラフィックもカラフルで可愛かったです、見るとグラフィックはグルビさんがやってるとのこと。ひとつのシンボルで全体を引っ張るグラフィックの作り方はグルビさんらしいです。
展示グラフィックに見る潮流、ヘタウマ感
しかしこのフライヤーや展示の説明書きのグラフィックを見ていると確かに可愛いのだけど文字の大きさや情報の整理感、余白の大きさがなんとなく微妙でわざとやっているとしか思えない(というかわざとだと思いますが)。
美大生が自分の美的感覚だけで作って経験が足りない分余白が最適でなかったりするけどその微妙さがなんとも言えない味を出していたりするのですがそれに通じるものを感じました。
なんとなく文字のレベル感が微妙な感じです。
サインとしては見出し文字の大きさが微妙で余白も狭めです。
そして最近そういう完成させすぎないグラフィックをよく目にするようになってきました。
デザインといえばWebが主流になりグラフィックより機能とテクニカルさ、合理性が求められるようになり、アプリは進化してほっておいてもそれなりのグラフィックが作れるようになった現代、もはや凄腕のアートディレクターについてグラフィックを学ぶという文化はごく一部を除いてほとんど死に絶えつつあり、デザイナーは誰かにデザインを学ぶこともなく即実践に放り込まれ2〜3年もすると一人前のディレクターとして巣立つ。
その力の抜き加減のようなものが現代性として受け入れられ、いわゆる「ヘタウマ」感がイケているものと感じられるようになっていく。
念のため申し上げておきますが天下のグルビさんをディスっているのではなく、むしろ嫉妬すら感じるグラフィックの表現の潮流を今回の展示グラフィックを通じて語らせていただきました。
Lina Bo Bardi 100: Brasiliens alternativer Weg in die Moderne

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