2016.1.11
欧文文字詰め 超入門編 ツメツメとアキアキ
自分世代ぐらいのデザイナーだとデザイン=文字を組むというのが仕事の9割を占めていました。
フライヤーを作るにも、ポスターを作るにも文字はデザインの最小エレメントで未だにそれは変わっていません。
なんていうことのない文字でもただ置くだけなのときちんとバランスよく配置するのでは説得力や美しさがまったく違ってきます。
文字詰めもただ詰めれば良いのではなく使いたい場所にあった文字詰めをしなければいけません、自分がデザインをする時どのようなプロセスで文字詰めをしているのか初歩の初歩をまとめてみました。
文字詰めで与えられる印象
使いたい場所とはどういう場所なのか、例えば雑誌のタイトルと雑誌のキャッチに使う場合その雑誌の内容にもよりますが詰め方は変わってきます。
基本的に文字をしっかりと詰めるツメツメで組むと硬い印象を与え、がっつりと開いたアキアキで組むと余裕のある雰囲気を与えます。
アキアキの組み方は全体的に文字間が開いているのでごまかしやすいですが、アキアキでもやはり文字の特性を汲み取った文字詰めができるかできないかで最終的に与える印象は変わってきます。
今回はこの二つの印象を与える基本的な文字の詰め方を紹介します。
1. 基本のツメツメ
まずはこちらをご覧ください。
※今回作例で自分ではあまり使い慣れていない書体を使い手癖で字詰めしないようにするため、普段ほとんど使うことのないfuturaを使用してみました。
こちらはfuturaでただ単に文字を打っただけです、カーニングなども特に入れていません。一見こんなものかなと思ってしまいますがよくよく見てみると文字のフォルムによってアキが大きい部分があります。空きの大きい部分をわかりやすく示してみました。
上記で示した部分を今回はわかりやすく均等にカーニング-40してみたのがこちらです。
いかがでしょうか、見比べないとわかりづらいですが詰めたものの方がよりオブジェクト感というか文字としての一体感が強いですよね。
上記画像で簡単な解説をするとこの「Chance」という単語でラウンドしている「a」と「c」の文字さらに「a」と「n」の隣り合った縦の棒、ステムと言いますがのアキがこの単語の中では一番大きな空きを作っているのでそこを他の部分の空きとと合わせています。
ここで一番重要なのが合わせていると言ってもまったく同じ幅を測ってその幅にしているわけではありません、あくまで見た目でバランスよく配置されるようにプロポーションを作ります。
上記画像をみていただくとわかると思いますが縦の青棒は全て同じ幅にしていますが、特に「a」と「n」のような縦棒が隣り合った場所は他の文字より文字同士が近くに見えるので他の文字より気持ち離して文字組みしてあるのがわかると思います。
2. 基本のアキアキ
今度はアキアキの文字組みです。
使いどころはいろいろですが単語が2段組になっている時長い方に合わせたり、大きな空間で単語ひとつがポツンとある時わざと文字間を大きめに空けてバランスをとったりなどします。
まずは普通に打ってみました、今度はChanceという単語を大文字にしています。普通に打ったらこれはこれでいいですね、別に破綻もしていないしそのままで使えそうな雰囲気です。
これを今度は全体カーニング200開いてみます。
文字を開いた時の方がバランスがわかりづらいのでなんとなくそのまま行っちゃいがちですがよくよくみると「H」「A」「N」のとくに「A」の前後が大きめに空いているように見えるのでそこを少し詰めました。
それがこちらです。
いかがでしょうか、かなりわかりづらいですが全体のバランス感はよくなっていると思います。
文字組みまとめ
いかがでしたでしょうかロゴを作ったりタイトルを組む際、手法は様々ありますがまずは文字の特性をきちんと掴み、しかるべき文字組みを行うだけで文字組みをした際のオブジェクト感が非常に強くなるのがお分かりいただけたかと思います。
今は全てスミ1色で作っていますが、ここに色要素や他のオブジェクトが入ってくると要素はどんどん複雑になりデザイン自体も複雑に進化します。
忘れてはいけないのは、大きく二つ。
- 文字組みでどんな印象を与えたいか意識しつづける。
- 文字が持つ特性を活かす。
上記です、これらを忘れずに良い文字組みライフを。
最後に私がたまに文字組みの参考書として字引のような使い方をさせていただいている書籍をご紹介。
書体デザイナーの小林章さんが執筆されています、様々な書体の紹介や文字の持つエレメントが一つ一つどのような意味を持っているのか、どのように文字を組むべきなのかなど細かく紹介されています。
欧文書体―その背景と使い方 (新デザインガイド)

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