畑を耕すようにデザインの事を考えるデザイナーのためのマガジンPeeji(ペエジ)。

2015.12.14

オリンピックロゴ一般公募について


一応世の中の隅の隅の方ですがデザインを生業として子を養い生活させてもらっているのですが、恥ずかしながら東京オリンピックのロゴが公募されているという事を知りませんでした。

東京オリンピック2020 エンブレム正確に言うとうっすら噂で聞きましたが真偽まで確かめはしなかったという感じです。
12月7日までの公募で1万4千余の応募があったそうですが参加資格のない一般公募なのでもちろんプロのデザイナーではなく主婦や、もしかしたら小学生、幼稚園児など様々な世代や職業の方々がこの公募に参加されていると思います。

ロゴを作るとはどういう事か

私はもちろん参加していなくて知っていたとしても絶対参加しなかったのですが、それはあくまで自分の場合ですがロゴとはせいぜい10ページの開催概要にまとめられているテキストと提出物の提出要件で作れるようなものではないと考えているからです。

今回のロゴの提出要件を見ましたがロゴにおいてもっとも重要視されるべき、東京オリンピックとはどんな大会で何を表現したいのかは1ページに箇条書きで簡単にまとめられているだけでこの程度の情報量とあまりにも粗い指向性ではそれをビジュアルにブレイクダウンするのはプロのデザイナーだと難しいと感じる人が多いと思います、もちろんクライアント側がそれを明確に持っている場合は少ないため、たとえコンペであったとしても、事前のオリエンテーションや対話でそれを引き出し汲み取っていくのがデザインの工程です、逆に言うとプロとアマチュアの差とはそれができるかできないかにしかないとも思えます。

一発勝負の存在と選考過程

nikeデザインにおいて制作までの経緯は非常に重要であるということは理解しつつ、ナイキのスウォッシュような超有名でシンボリックなロゴが実は名もなき女子大生が約3500円の報酬で作り上げたような例も存在します。

上記のような超偶然に頼った成功例もあるので絶対に公募がまちがっているとは言えないとは思います。
しかし1万4千もの作品から一つを選ぶというのはそれだけでも莫大な労力がかかり、おそらくアルバイトさんなどの手によって大多数を絞り込んでいくのだと思いますが、今回の選定項目の一つとしてあげられているいわゆる審美性だけに着眼した選定となるのは当然で、それも個人の嗜好性に強く寄った恣意的な選択となるのは確実だろうと予想され本来ロゴというものが持つべきアイデンティティをきちんと表現したシンボルであるかを正確に判断することは選定工程だけで考えても難しいでしょう。

デザインという職能の理解

今回の公募は佐野さんのロゴ盗用疑惑やそれに付随するロゴの選定基準などの国民世論を受けて開催されたのだと思いますが、デザインという職能に対する組織委員会の理解の低さを改めて露呈してしまう事になった気がします。

今回の公募に関してはアメリカグラフィックデザイン協会AIGAも批判しています。
その内容はスペックワークによるタダ働きと報酬の低さ、東京オリンピック組織委員会のデザインにおけるプロフェッショナルワークへの理解の低さです。

個人的にもデザインという職能を人に理解してもらえてるなと感じる事はやはり少ないです、簡単なロゴを作ってお金をもらえてる羨ましいと言われる事もしばしばです。

クラウドワークスのようなどんな人でもデザインの仕事に参加できる世の中ですからこれを機にデザインという職能はどんなものなのか、ちょっと絵がうまい非デザイナーとデザイナーとは一体何が違うのかを、納得してもらえるよう説明する事、仕事で納得してもらう事がデザイナーにも求められていくだろうと感じますし、その答えを明確に自分に中に持っていなければデザイナーとして生きて行くことは難しくなっていくだろうと思いました。

新しい時代のブランドロゴのデザイン -ダイナミック・アイデンティティのアイデア97


縞模様の歴史

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